くじゅう     ぼくや     の    はくぶつかん
久住 牧野の博物館
Kuju Grasslands Ecomuseum

 久住高原に広がる草原を知る

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博物館四角ロゴ 事務局連絡先(E-mail):office(@mark)kuju-ecomuseum.org


草原を守り・維持してきた地域の農業
地域農業を支えてきた草原

大分県久住の草原の自然と生き物、高原の自然を守ってきた農家の営みを紹介します。
草原の景観は、長い歴史をもつ地域農業と高原の自然との関わりで創られ、維持されてきました。
地域の人々と自然とが創り出した「歴史遺産」であり、「文化」です。

 博物館アピール
「日本の複雑な自然環境を生かして多様な農産物を供給し、生物多様性をつくる小規模・複合経営を守ることが未来へ続く道」
       
(2016/4/5)
 わが国の風景や自然環境、生物多様性を守るためには、それをつくりだし維持してきた仕組みである小規模・複合経営を守ることが重要であることを訴えています。

カヤネズミの生息地はカヤ原か?

       (2014/3/15改訂版)
 カヤネズミという動物の生活にとって、農村の環境が非常に大切な意義をもっていることを訴え、カヤネズミへの想いが、極めて厳しい状況に直面している農業と農村社会に対して市民が理解と支持を寄せる架け橋となることを願って
 冬の様子をうかがい知ることのできるカヤネズミの地表巣
  
 4月23日の調査でS草地の縁にあるススキ株でカヤネズミの地表巣を見つけました。4月中旬の野焼きの時に強い風と雨でリターが焼け残ったために全く火の影響を受けなかった地表巣です。
1枚目の写真で地表巣を見つけることができますか。

 地表巣を確認したススキ株  中央やや上に地表巣が埋もれている  取り出した地表巣
 2019年第1回草地調査

 4月22、23日、第1回目の草地調査を行いました。今年は以下のような特徴的な状況が観察されました。
1)全体的に牧草の成長は良好で、特にイタリアンライグラスの伸びが早いようです。
 これは、暖冬傾向であったことが大きな要因だと思われますが、特に、堆肥や鶏糞焼却灰を施用した草地では顕著な土壌の改良効果が出ていることが確認されました。5月もやや高温傾向が予報されていますので、倒伏を避けるために例年より早めの刈り取りを計画する必要がありそうです。
2)オーチャードグラス・トールフェスク優占草地でも堆肥・焼却灰の顕著な施用効果が出ています。また、いくつかの草地で苦土石灰の施用が実施されており、適切な土壌管理への関心が高くなっていることは今後の草地の利用に持続的な効果をもたらすものと期待されます。
3)高標高の草地で、鹿の食害が激しく、2回刈りの草地で普通に観察される牧草の株化は全く見られず、採食圧の高い放牧草地と同様の植生になっているところもあります。
4)昨秋、更新した草地で、イタリアンライグラス優占化、オーチャードグラスの発芽、初期成長の障害が観察されました。草地更新がうまくいかない状況が依然として続いています。今後、更新を計画している牧場もいくつかありますので、原因に応じた適切な対応策の早急な確立が必要です。
5)2004年に発生した大規模な裸地発生と同様な原因と思われるイタリアンライグラスの発芽あるいは初期成長障害が確認されました。土壌の酸性化、最終刈り取り時期の確認と気象的な要因などの原因の特定と対策の検討を行いたいと思います。現地調査では硫安肥料の利用が継続していることの影響が示唆されています。
 旺盛の成育を示すイタリアンライグラス  土壌改良効果が顕著なオーチャードグラス優占草地  鹿の食害で放牧地様の植生を示す2回刈り草地  イタリアンライグラスが消失し、ナズナで覆われた草地
2018年第3回草地調査

 
 今年の7、8月は平年と比べると全般的に高温傾向で、雨も比較的少なかったようです。

9月10、11日に行った生育調査の概要をまとめてみました。

イタリアンライグラスとメヒシバ・イヌビエの交代草地では、3番草の成長は順調で、平年並みの収穫が予想されます。昨年に比べ越夏したイタリアンライグラスの割合いも低い草地がほとんどでした。そのため、3番草の刈り取りは10月中旬までに終わらせて、来年一番草になるイタリアンライグラスを十分発芽させることが重要です。


今年の高温傾向は、メヒシバ・イヌビエの成長を促進したのに対しオーチャードグラスにとっては厳しい環境だったといえそうです。いくつかの草地では夏枯れを起こしたのではないかと推定される成長の減退が見られました。
 特に、酸性化に伴うアルミニウム害によって根が浅くなっている草地では、夏季の乾燥障害や吸肥力の低下による成長減退が起こることを避けるために、酸性改良と堆肥などによるアルミニウム害の軽減を図る必要があります。

 イヌビエ、メヒシバの生育は順調  オーチャードグラスがメヒシバ・イヌビエに圧倒されている
 2018年第2回草地調査 

 2018年7月9,10日、本年第2回の草地調査を行いました。ちょうど梅雨明けの日で、久しぶりに強い陽が射す天気となりました。
①イタリアンライグラス主体の草地では順調な生育が認められます。
 イタリアンライグラス主体草地

 密度も高く、雨続きの天気でしたが倒伏も少ない草地がほとんどでした。各牧野とも焼却灰や堆肥の散布に努力されてきた効果だと思われます。枯れ上りも少ないようです。

②オーチャードグラスやトールフェスク主体の草地の状況も例年と比べ大きな変化はありません。しかし、全体として株の勢いが弱いという印象を受けます。また、牧野によっては、イタリアンライグラスの増加、自生リードカナリーグラスやベルベットグラスの生育部分が拡大する傾向があります。原因はそれぞれの牧野毎に検討する必要がありますが、共通した要因としては、土壌の酸性化が依然として大きいようです。対応については、それぞれの牧野の飼料としての期待収穫量あるいは栄養的な質を望むのかなどを明確にしたうえで、施肥計画あるいは更新予定などを決めていく必要があります。

 
 6月初旬刈り取り後再生が思わしくない草地  イタリアンライグラス主体となった草地  自生リードカナリーグラスとベルベットグラスの生育領域が拡大した草地

 2018年第1回草地調査
 2018年4月26、27日、第1回草地調査を行いました。
初夏を思わせる素晴らしい天気で、阿蘇五岳もくっきりと見えていました。

 3月は暖かい日が続いたことから、牧草の伸びは全体として良好でした。一部の草地で10数年前に起こった裸地化が再び見られ、原因と対策を再確認する必要があるようです。
堆肥を散布した草地では一部倒伏が起こっています。出穂まで確認して収穫するのがよいと考えます。
 この数年、高原の草地の利用管理への熱意が低下している牧場もありますが、特に、草地の重要性に対する行政の関心が低下してきているのは残念なことです。

 2016年秋更新草地で、オーチャードグラスが優占し、密度も高く維持されています。堆肥の施用、3番刈り取り時期がやや遅めという管理が有効に働いています。 イタリアンライグラスがほとんど消え、裸地とそこにスイバが多く生育している部分が拡がっています。
土壌の酸性化と昨年の最終刈り取り時期(刈取りができていないかもしれない)を確認する必要があります。
 2017年第3回草地調査を9月14、15日行いました。

 今年の秋は、牧場によって第3回の刈り取り時期が大きく異なりました。1番草がイタリアンライグラス主体の草地の場合には、9月中の刈り取りであれば、来年の1番草に対する影響は大きくないだろうと思われます。オーチャードグラスの多い草地の場合には、イタリアンライグラスとの競争という点で、悪影響が出る可能性があります。
            「2017年第3回草地調査結果の概要」
 野焼きに参加しました
2017年3月19日、前日午後に予報外れの雨が降りましたが、 予定通り野焼きが実施できました。
阿蘇・くじゅう地域の牧野の野焼きは,どこの牧野も継続が危ぶまれる状態になっています。地域の農家に加え,ボランティアの協力を得ながら何とか実施されるところも多くなっています。
 野焼きの実施には、農家の皆さんが身につけている技術や知恵の伝承が重要であり、火消しなどで敏速に動き、体力がある働き手が必要です。ボランティアが協力できる作業については今後も支援体制をつくることが重要だと思います。
 しかし、刻々変化する気象条件をみながら、大面積の野焼きを安全に実施していく上で何より大切なことは、参加者と全作業を統合・指揮するしっかりした組織です。今後の野焼きを継続する上で最も危惧されることは、地域農村社会(入会い組織、集落組織)の機能が弱体化し、失われていくことだ思います。
 野焼き跡のカヤネズミやアカネズミの地表巣
 

 野焼き跡を歩くとカヤネズミやアカネズミの地表巣を発見することができます。
 写真1
 
 カヤネズミの巣は、ススキやネザサの広い野草地では、50m歩いて1個あるかないか程度ですが、写真1のようなイタリアンライグラスとメヒシバやイヌビエとが交代する草地の中を走る道の法面の焼き跡では、3~5m歩くと1個くらいの確率で発見することができます。
 
 多くのカヤネズミの地表巣は、ススキの株の中、積もった枯れ葉の中に顔を出した状態で表面だけが焼けているので、手で取り出すことができます(写真2)。
 
 今年は1個だけでしたが、アカネズミの地表巣と判断している巣を見つけました。
 写真3はアカネズミの巣があった場所で、巣の下に巣穴が開坑しているのが見えますし、巣の10cm横にも巣穴の入り口がありました。写真4は取り出したアカネズミの巣で、側面に開口部があります。カヤネズミの巣と比べると、枯れた茎葉をあまり細かく裂かないでそのまま丸めてつくっていることがわかります(写真4)。巣を切り開いてみると違いが明らかです。
   *カヤネズミの地表巣に関する情報は「カヤネズミのこと」のページでも見ることができます。
 写真2  写真3  写真4
 2016年秋更新の草地の状態 
 
 2016年9月に更新作業を行った草地の状況を見ました。
 
 2016年12月13日の状況

 いくつかの草地で、写真のような細溝侵食が発生しています。9月末に牧草の播種が行われた後、当該地域では発芽前あるいは発芽直後の10月5日に1時間雨量が30mm以上の大雨が降っています。牧草の根が土壌をしっかり保持する前に雨によって侵食が発生したと考えられます。最近の更新草地で頻繁に発生しているリン欠亡と関連する根系の不十分な発達に起因する細溝侵食ではないようです。

 土嚢の投入による水流防止が処置されていますが、発生した細溝が春からの雨で大きな水みちに発達するのを防ぐことが重要です。

 火山灰土壌における更新作業のような土を裸にする作業工程がいかに危険な時期か改めて示しています。

湯布院の草地更新作業-その後

 
3月末の段階でほぼ順調な生育をしています。しかし、一部の傾斜部分に牧草の定着が悪く、ヒメスイバの実生が大量に発生したり、裸地が生じています。この現象は久住の更新草地で発生している状況と同じ原因(土壌酸性の改良が予定通り進まずAl害、リン欠亡が発生、霜柱の害発生)によると推測されます。同じ火山灰土壌とはいえ、地域、土壌の性質、気象などが異なる所で起こっている点に注目しています。今後の経過を確認したいと思います。

     
 野焼きの済んだ由布岳  更新草地の全体像  一部の生育不良地
 久住の牧野は寒い季節を迎えようとしています。
カヤネズミの地表巣がつくられているのを確認しました。

 
 牧草地は今年3回目の刈り取りが終わり、土や積もった枯れ草の上には、エノコログサ、イヌビエ、オオバコ、ギシギシなどの種子が大量に落ちています。その牧草地の間を走る谷の斜面を覆うネザサの中に所々ススキの大株が生えています。その株の中の枯れ葉を床にして地表巣がつくられていました。ススキの茎に巣材の一部が巻かれ、入口が上を向いて開けられていました。
 朝晩の気温は時々10℃を割ることもあり、カヤネズミは冬にむけた準備をしているようです。
   
 地表巣が見つかったススキ株 巣の周りのススキ茎の一部は切り取っています
 同じ黒ボク土でも性質が大きく異なることがあります。
 一般に黒ボクと呼ばれる火山灰土壌には、非アロフェン質黒ボク土という、特別な性質をもつ土があり、その土の草地では利用管理に特別の注意が必要です。
 3月25日、熊本の九州沖縄農業研究センターの土壌関係の研究者と久住高原の草地を回り、土壌採取と草地の状況観察を行いました。2012年更新草地で発生した裸地化などの問題が2013年更新の草地でも小規模ながら起こっていることが確認されました(写真)。
 この現象が非アロフェン質黒ボク土における更新技術のあり方によるものかを、専門家に土壌分析してもらい、今後の対応策を練ることになりました。
 なお、九州沖縄農研センターが作成したリーフレット「久住・阿蘇地域に見られる強酸性土壌「非アロフェン質黒ボク土」の分布と性質」にこの土に関する情報が記載されています。入手を希望される方は、同センター生産環境領域Tel. 096-242-7763にご連絡ください。牧野の博物館事務局宛てE-メールでお知らせ頂いても送付可能です(数に制限があります)。
久住高原に分布する「非アロフェン質火山灰土壌」の特徴、草地管理上の問題点などについて、セミナーが開催されました(10月10日)。今後の草地利用管理に大変有意義な情報を得ることができました。
 非アロフェン質火山灰土壌が草地土壌の著しい酸性化やアルミニウムによる根の伸長障害の原因になる土壌です。久住 牧野の博物館から増田が発表した内容を公開します 
酸性化が激しく、アルミによる根の生育障害・リン酸 不足が起こる牧場には、鶏糞焼却灰の利用が非常に有効です。
鶏ふん焼却灰の今後の利用について
 鶏ふん焼却灰は畜産廃棄物の有効利用であり、土壌改良材として優れた特性を持っていますが、多量連用にはいくつかの問題点があります。地元指導機関との協議を行い、土壌モニタリングを行うことになりました。
 今後の利用方向をまとめてみました
「命を尊いものと思う心」を育てる畜産


「命の尊さ」を学ぶ「食育」について、ある機会に発表した内容を掲載します。プレゼンテーションのファイルなのでわかりにくいと思いますが、農業・畜産の大切な役割を考える資料としてご覧ください。

 土塁(どるい)の保全と記録は緊急の課題です!
          土塁案内を掲載しました。

  久住高原 大分県竹田市久住町 沢水展望台横の土塁
2003年11月 ⇒ 2011年11月


土塁写真集(「久住高原の土塁」「空から見た土塁」「公道から見える土塁」も公開しています。
*「公道から見える土塁」の撮影地点地図は
Picasaウェブアルバムで見ることができます。
土塁保全
   <久住 牧野の博物館>