2017年第2回草地調査

 今年の1番草刈り取り時以降の天候変動は例年と大きく異なった特徴を示しました。5月から梅雨入り後の6月上・中旬まで晴天傾向が続きました。今年6月上・中旬の降水量は、約50㎜(気象庁アメダス地点 竹田)で平年値約160㎜の1/3程度の値でした。このような天候は1番草の収穫作業に好都合でしたが、刈り取り後の2番草の成長にはかなり大きな影響をもたらしています。

 ここでは少雨という天候が草地にどのような影響を及ぼしているかについて、今回の草地調査で観察された状況から次の2点を考えてみました。
 ① 1番草の刈り取り後に散布された追肥の効果が草地全体に拡がっていない。

イタリアンの肥料むら
倒伏した部分と色の薄い部分が列状に見える
(イタリアンライグラス)

 この時期に少雨傾向が長期にわたることが頻発する可能性はあまりないので、特別の対策を考えておく必要はないと思いますが、少雨天候の持続期間や時期によっては2番草の収穫量に影響が出る可能性もありますし、施肥効率という点で損失となることは認識しておく必要があります。このような状況が起こることを防止することは、正確な天候予想ができないためになかなか困難ですが、できるだけ丁寧な施肥作業を行うことしか対策はないと思われます。

② 全体として牧草の成長の勢いがやや衰えていますが、特に1番草では良好な成長をしていたオーチャードグラスが大きな影響を受けているところが多いようです。

成長が悪いオーチャード
オーチャードグラスの成育が悪く、 イタリアンライグラス、ベルベットグラスが優勢となっている

土壌の乾燥が牧草の成長に及ぼす影響としては、①でみられるような土壌養分の供給不足が考えられます。また、土壌からの吸水不足自体が牧草の成長に大きな影響を与えることも明らかです。
 降水量不足による土壌水分含量の低下が原因となることは間違いありませんが、土壌水分を吸収する牧草の根系の発達の程度(深さ、拡がり)が水分吸収量に大きな関係を持っています。今年の少雨が直接牧草の成長に影響を及ぼしたことも否定できませんが、多くの草地で最近見られる土壌酸性化に伴うアルミニウムによる根系の生育阻害が土壌水分の吸収能力を低下させている可能性もあると思われます。

 イタリアンライグラスは1年生イネ科草であり、オーチャードグラスは多年生イネ科草であることから、両者の土壌中の根の張り方を比較すると、一般的にはオーチャードグラスの根の方が深く広く分布していると考えられます。したがって、少雨による土壌水分不足の影響はイタリアンライグラスで大きいことが予想されます。しかし、実際の草地ではオーチャードグラスで影響が大きく出ていることが観察されました。1番草では良好な成育を示したオーチャードグラスが2番草ではイタリアンライグラスに圧倒されている草地も多いようです。この理由は前述のように土壌の酸性化に伴うアルミニウム害がオーチャードグラスで強く現れ、根系が浅くしか分布していない草地が多いことによると考えられます。

 今年の少雨傾向は6月下旬には解消していますので、2番草の収穫時にはその影響は小さくなっていると思われますが、天候が牧草の成長に及ぼす影響が草地の土壌管理とも関連することは頭に入れておくことは大切だと思います。

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