カヤネズミの雌は、妊娠すると交尾後4日目頃(分娩前2週間頃)にお産と育仔に使うための繁殖巣を造ります。その後、分娩までに時々(使っていないのではと思えるほどの頻度)巣の中に入って補修をし、分娩数日前に完成形になります1)。また、お産が迫った雌親を新しいイネ科群落のケージに移すと直ぐに繁殖巣を造り始めます。大きなお腹を抱えながら繁殖巣を作り翌日にはお産をしたという例もあります。繁殖巣はイネ科草の茎葉を周囲から引き込み、細かく裂いて絡み合わせ、球状に造ります。動画の解析1)では床部をまず造り、ついで壁面、そして外から茎葉を引き込んで屋根を造っていました。巣の外側を形作る茎葉の密度は、夏季に造られる巣の場合、巣の中が覗えるくらいかなり粗で、ある程度風通しを良くして暑さに対応しているように思えます。真夏に造られる繁殖巣の場合には、幼獣が隙間から落ちるのではないかと心配になることさえあります。気温の低い時期に造られる巣の場合は、巣の中にイネ科草の稈などを非常に細かく裂いて保温性の高い状態に加工して内層を造っています。内層に使われる材料として、ススキなどの穂の綿毛をつかうことがありますが、その他に、綿やロープなどの人工物を利用することもあるようです。動画はススキの穂を巣内に持ち込む様子です。
雌親が繁殖巣にススキの穂を持ち込む様子(38秒、5.93MB)
1)発表準備中
(2014年12月11日)