豪雨で取り付け道路が崩壊し,通行できない草地が数カ所発生しました。
I牧野
牧草の草高はやや低いものの、色は良好で栄養的には良質な飼料が収穫できると思われます。これは、草地のイタリアンライグラスが越夏型のものが主体になっていることと、焼却灰や堆肥、土壌改良材の継続的な散布により土壌改良が進んでいることによると考えられます。
今後も土壌分析の結果を見ながら酸性化を防ぐよう焼却灰等の利用を計画してください。
C牧野
イタリアンライグラスの株密度がやや低く、ムラが見られるが、生育は順調で、草丈は高く、収量は多いと思われます。イタリアンライグラスの密度がやや少なくなった原因は、昨秋の刈り取りがやや遅れたためにイタリアンライグラスの発芽数が減少したことによると推測されます。今年の3番刈りが9月中に実施できれば、来春は十分な密度を回復することができます。土壌の改良がかなり進んでいると思われますが、今後も堆肥、焼却灰の散布をできるだけ継続してください。
T牧野
オーチャードグラス、トールフェスクがほぼ消えているため、イタリアンライグラスが主体になっていますが、密度がやや低く、株間にオオバコ、ギシギシが拡がっています。イタリアンライグラスの草丈があまり高くないのは、生育しているイタリアンライグラスがペレニアルライグラスとの交雑種になっていること、土壌酸性化が進んでいることによると思われます。密度の回復をはかるために、今秋の刈り取りはできるだけ9月中に行うとともに、焼却灰、堆肥あるいは石灰質肥料の利用による土壌改良に務めてください。
NK牧野
トールフェスク株が多く、株間をヌカボ、ヨモギなどが埋めている。土壌酸性化が進んでいるため収量はあまり上がらないと思われますが、草種構成としては安定した状態が続いています。今後も確実な刈り取りを継続するとともに、土壌の酸性化によるヨモギ、イタドリ、ヌカボの増加という草種割合の変化と収量低下に注意しながら利用管理を続けてください。
NC牧野
入り口付近はイタリアンライグラスが優占していますが、全体としてはオーチャードグラスおよびトールフェスクが多く、収量もかなり高いと思われます。しかし、ワルナスビの割合は毎年増加しており、この草地の利用管理法としては、ワルナスビの種子を他の草地や牧場に拡げることを防止することを最も重要な目的とせざるを得ません。7月20日現在でほぼ開花盛期であり、7月中の刈り取りができれば、結実を避けることができると予想されます。ワルナスビが侵入した草地の場合、1番草の刈り取りをやや早めに行い、2番草を十分成育させることにより、株から萌芽し成育を開始するワルナスビをできるだけ被圧する、結実を避けて7月中旬頃には2番草の刈り取りを行う、という管理法の採用が妥当ではないかと考えられます。今後とも3番草の管理法を含めて検証を継続したいと思います。
Y牧野
昨年更新した草地はオーチャードグラス個体が確認できず、イタリアンライグラス主体となっています。更新により土壌改良が行われたため、イタリアンライグラスの成長は順調であり、今後は昨年までの利用管理法を継続することで、収量的には安定すると思われます。更新草地はイタリアンライグラスが優占する草地であり、更新後の来春にもイタリアンライグラスがオーチャードグラスを被圧する状況になることが予想されます。来年の1番草の状況を確認した上で、その後の利用管理法を検討したいと思います。
IM牧野
昨年に比べイタリアンライグラスがかなり復活し、被度が高くなっています。今秋に9月中の刈り取りができれば来年は更に密度は高くなると予想される。ただし、収量を上げるには、酸性化およびリン酸不足によってレッドトップ(ヌカボ)が拡がっている状態を改善し、裸地の発生を抑えるために、石灰質肥料やリン酸の施用が不可欠です。
O牧野
リードカナリーグラスの成長は順調で、ギシギシなどの雑草の侵入はほとんど認められません。長雨で一部倒伏した形跡が観察されますが、自力で立ち上がり、収穫作業には全く問題ないと思われます。秋の最終刈り取り後の苦土石灰などの施用は、牧草の増収と牛の採食量改善に効果があると考えられます。
IH牧野
今年は気温がやや低いためにオーチャードグラスの生育も良好ですが、草地全体でのオーチャード、トールフェスクの割合が低下しているので、収量としてはイアリアンライグラスに期待せざるを得ない状況になっています。今後の利用管理法としては、イタリアンライグラスの成長にあわせて、春肥え重点の施肥と9月中の刈り取りを重視するのが有効と考えられます。施肥した苦土石灰の効果を土壌分析の結果で判断して、今後の土壌改善を計画してください。
U牧野
オーチャードの株数減少が進み、イタリアンライグラス、ベルベットグラス、リードカナリーグラスの被度が上がっています。草種の割合としては今後ともオーチャードグラス主体の利用を継続できるかどうかのギリギリの線になっており、最終刈り取りを10月中旬まで遅らした場合の来春の草種割合を確認して、その後の利用管理法を再検討する必要があると思われます。堆肥の施用効果は未だ十分ではなく、ベルベットグラスなどの増加が土壌酸性化と関連する可能性も高く、土壌分析の結果を見て、石灰質資材の施用も検討してください。
TK牧野
オーチャード、フェスクの株はしっかり残っていますが、イタリアンライグラスおよびベルベットグラス(開花)の増加が目立つてきました。3番草をできるだけ繁茂させ、刈り取りを遅くすることにより、イタリアンライグラスの発芽と初期生長、およびベルベットグラスの株からの再生を被圧する期間を長くして、押さえ込む効果を狙うのが有効だと思われます。堆肥の効果も出てはいますが、土壌分析の結果を見て石灰質資材、リン酸資材の施用するのも効果があると推測されます。
A牧野
オーチャードグラスやトールフェスク、あるいはイタリアンライグラスなど、収穫の主体になるべき牧草の割合が十分でない状況になっています。ベルベットグラス、メヒシバ、などが牧草の株間を埋めています。今後の草地の利用管理法としては、裸地化を防ぎ、イタリアンライグラスを十分成長させるような方法を確立する必要があります。草地の標高が1000mあるため、イタリアンライグラスの十分な発芽、初期成長を保障するように9月中の3番の刈り取ること、および石灰質肥料あるいは堆肥、焼却灰の施用が必須です。
S牧野
ベルベットグラス、リードカナリーグラスが主体になっていますが、収量は十分あると思われます。6月中旬に刈り取り、追肥も行われているようで、順調な成長をしています。今後も確実な刈り取りを実施することで安定した収穫量が確保できると思われます。