今年の1番草刈り取り時以降の天候は、気温、天気ともに変動が激しく、収穫・管理作業がやりにくい年になったと思います。しかし、牧草の成長に大きな影響を及ぼす要因は少なく比較的順調な生育を示しています。梅雨明けも例年と同様で、収穫作業も順調に進んでいると思われます。
7月9、10日に行った生育調査の概要をまとめてみました。
1)イタリアンライグラス主体の草地は、順調に成長しています。
2017年秋の刈り取りが例年通りの時期だった草地、例年より早い草地ともに、イタリアンライグラスの密度は十分で収量も問題ないと思われます。調査直前までかなりの雨が降り続いていましたが、イタリアンライグラスの倒伏がひどい草地はほとんどありませんでした。これは、堆肥や焼却灰の施用を行っている草地では、カルシュウム、カリなどのミネラル供給が効果を示していると推察します。2番刈り取りにおけるイタリアンライグラスの黄化、枯れ上りはある程度は避けられない現象ではありますが、堆肥の施用でこれを軽減する効果も認められます。今後とも土壌改良材を計画的に活用することが安定した草地の維持に有効だと考えます。
いくつかの草地では、イタリアンライグラスの割合の増加、自生リードカナリーグラスやベルベットグラスの生育範囲の拡大が進んでいます。それぞれの牧場によってその原因は異なる面もありますが、共通した要因として土壌の酸性化が関わっているといえます。それぞれの牧場における飼料としての量あるいは質の必要性に応じて対応策(施肥計画、更新)を決めていく必要があります。
2)多年生イネ科牧草オーチャードグラスおよびトールフェスク主体の草地については、昨年と比較して大きな変化は認められません。しかし、全体としてオーチャードグラスの成長には勢いが弱いという印象があります。株は一応維持されていますが、土壌の酸性化に伴うアルミニウム害による根の浅い状況には依然として大きな改善は認められません。今後、暑熱、晩秋や早春の寒冷、少雨などの要因で株の減少、再生不良が発生する危険は十分予想されます。最終刈り取り後の石灰、リン酸肥料の施用、堆肥、焼却灰などの土壌改良材の利用を計画的に実施してください。