7月9、10日の2012年第2回草地調査に参加しました。
1番草と同様に、鶏糞焼却灰の施用効果が顕著に出ているようです。今後とも焼却灰の利用を継続することが有効と考えられますので、今後の利用方針について以下の様にまとめてみました。
当然のことながら、今後の供給元の確保をまずきちんと行う必要があります。
2012年第2回草地調査のまとめ
1番草に引き続き、2番草でも鶏糞焼却灰の散布効果が認められました。例年の2番草では、出穂したイタリアンライグラスの葉の枯れ上がりが目立ち、飼料としての栄養価もかなり低下しているように見えますが、今年は生育も旺盛で、緑色も良く保たれています。
今後も酸性の矯正、リン酸の補給に有効な土壌改良材として、焼却灰の使い方について整理しておく必要があると思います。
●焼却灰を使う必要があるかの判断基準
草地がどのような状況になったら焼却灰を使うかの判断基準をもつことが必要です。できるだけ各牧場の判断が自主的に出てくるようにしましょう。
・草地調査時の土壌pHの簡易測定値で酸性化が認められる場合
・土壌診断により土壌改良材の施用が指摘された場合
・牧草の株を手で引いてみて、3~5cm程度の深さで比較的簡単に抜けるかどうか日常的に各牧場でチェックしてもらい、抜けるようであればアルミによる根の生育障害がでるほど酸性化が進んでいると判断できます。
●施用量の判断は土壌診断を委託して
どの位の量を施用するかは、委託する土壌診断を参考にして判断し、該当する牧場に提案しましょう。
●作業機による施用方法
灰状の資材であるため作業機による散布作業にはいろいろな問題がでています。各牧場で様々な工夫をして作業をされているので、それらの経験を踏まえて、より効率的な作業法を確立、普及する必要があります。
●成分は製品毎に要チェック
焼却灰の成分含量のデータには、製造場所、製品によってかなり大きなバラツキがあります。N社の焼却灰のリン酸13.0%、石灰29.4%に対し、M社の焼却灰では、それぞれ22.1%、15.5%となっています。香川県のデータでは、育成鶏鶏糞焼却灰のリン酸29.5%、石灰23.2%に対し、成鶏糞焼却灰ではそれぞれ、15.7%、41.2%となっており、成鶏主体の糞では、育成鶏主体の糞に比べ、リン酸含量が低く、石灰含量が高くなるようです。給与されていた飼料が製品の成分に大きく影響がすると考えられ、今後供給される製品の来歴に注意し、成分含量をできるだけ正確に把握することが大切です。
●焼却灰を施用した場合にはカリ施肥量の調節を
鶏糞焼却灰にはかなり高いカリが含まれています。カリ含量も製品によって大きなバラツキがありますが、M社の焼却灰で15.8%、香川県育成鶏のデータで14.8%という値が見られます。焼却灰を使う頻度、量にもよりますが、通常の肥料でカリ施肥量を調整しないとカリの過剰施肥になる可能性があります。カリの過剰施肥は牧草のミネラルバランスを崩し、牛の健康に問題を生じる場合があります。焼却灰を施用する年は、年間のカリ施肥量は焼却灰に含まれるカリ分を差し引く必要があります。年間の合計カリ施肥量は、窒素施肥量の3分の2を超えないようにするのが安全です。