例年と比べた場合、今年の1番草の特徴は二つありました。
一つは、牧草の生長の勢いが良いと感じられる草地がいくつかあったことです。
1)牧草の生長が良好であったところは、焼却灰を散布した効果や石灰質肥料の施用に努めた成果がでたのではないかと思われます。昨年より最も改善が著しい牧野はC牧場で、今年は裸地が認められず、牧草(イタリアンライグラス)が順調に生育しています。焼却灰による酸性矯正効果は、リン酸の吸収を高め、根の発達を促すことで、春肥の効果も高めます。今後も土壌pHのチェック、土壌診断を継続的に実施し、必要に応じて焼却灰等の散布による土壌改良をおこなうことが、安定した草地生産の基盤です。
二つ目は、草種構成が大きく変わった草地が見られたことです。
2)昨年の一番草と比べて草種の割合が大きく変わった草地がいくつかあります。原因については、昨年、不純な天候により刈り取り時期が大きく動いたことによると思われます。刈り取り時期が例年より前後に動くことが草種構成にどのような影響を及ぼしたかは、今後、各牧場の昨年の刈り取り作業経過の調査をもとに情報を整理したいと思います。
主要な牧草(イタリアン、オーチャードグラス)が減少あるいは消失した草地(N、I、T、M、IT、G、NG)については、各牧場の今後の利用管理方針を確認した上で、具体的な対応策を決める必要があります。この場合、草地ごとに、牧草がどのように消えたか、その原因を明確にしておくことが今後の管理にとって重要です。オーチャードが夏枯れで消えたのか、イタリアンが発芽・生長出来なかったのか、そして、その原因となる可能性のある要因として、肥料はいつ、何を、どのくらい施用したか、刈り取りはいつ頃だったか、土壌分析の結果は、天候はどうだったか、などを総合的に判断して、今後の管理に活かすべきことを把握しておくことが重要です。
主体となった